
真奈美は、体育館で清掃作業をさせられていたマゾ男達の中から3人を指名して、失神している直樹をマゾ強制収容所の医務室に運ばせた。3人のマゾ男達に体育館へ戻るよう指示した史子女医は、ベッドに横たわっている直樹を見下ろし、
「しかし久しぶりに、ボロ雑巾みたいになるまで痛めつけられたマゾ男を見たわ…全身を鞭打たれているけど、打撲傷も結構酷いわね…これ、あなたがやったの?」
と呆れたように、真奈美に訊ねた。真奈美は首を強く横に振り、
「私じゃありませんよ。いくら私でも、ここまでしません。これは、視察に来られた大泉総理が…」
と体育館での出来事を、史子女医に詳しく説明した。史子女医はため息をついて、首を横に振り、
「大泉総理って、確か還暦を超えている筈よね…日本にも凄い女傑がいるのね。さすがは、女性初の総理大臣だわ」
と感嘆の声を出した。史子女医は、まだ失神している直樹の目蓋を指で開き、ペンライトを当てて覗き込んでから、彼の全身をざっと消毒した。それから鎮痛剤と消炎剤と睡眠導入剤を処方して、点滴で直樹に投与した。史子女医は、
「このマゾ男は、とても食事を摂れそうもないから、点滴にブドウ糖も入れておいたわ。気が付いたら痛みで苦しむだけだから、このまま失神させておいた方がいいわね…そうだ、せっかく医務室に運ばれたんだから、このマゾ男に特別サービスをしてあげましょう」
と真奈美に言って、何やらゴソゴソと手術道具を取り出した。特別サービスの意味が分からない真奈美が、史子女医の行動を眺めていると、医療用の薄いゴム手袋を嵌めた彼女は、ベッドに横たわっている直樹の鼻の中に麻酔注射を打った。それから何やら尖って鋭いメスみたいな手術道具で、直樹の鼻中隔にゴリゴリと穴を開けて、脱脂綿を詰めた。手術道具に付着した血液を消毒薬を染み込ませた脱脂綿で拭き取った史子女医は、手術道具を元の場所に戻し、血に染まった脱脂綿とゴム手袋をゴミ箱に捨てた。
「あの…北川先生、このマゾ男に何をなさったんですか?」
真奈美が史子女医に訊ねると、
「ああ、鼻輪や鼻フックが通るように、鼻の間に穴を開けただけよ…開けた穴に詰めた脱脂綿は、明日の朝にでも取ってね」
とあっさり答えた。真奈美は、何かとマゾ男達に人体改造をしたがる史子女医を、少し恐ろしく感じた。
直樹が失神から覚めた時は、とっくに夕食時間を過ぎていた。医務室のベッドから起き上がろうとしたが、体が軋んで痛み、うまく体を動かせなかった。直樹の体全体が痛かったが、特に鼻がズキズキ痛んだ。直樹が何とか上体を起こした時、ドアが開いて史子女医が医務室に入って来た。
「あら、ようやく目が覚めたのね…随分と痛むでしょう」
史子女医はベッドに近づき、直樹の腕から点滴の針を抜いて、空になっている点滴セットを片付けた。それから、インターホンで誰かを呼んだ。直樹は痛む鼻に手をやり、
「あの…北川先生、鼻がズキズキ痛んで、何か違和感があるんですが…」
と史子女医に恐る恐る訊ねた。すると史子女医は、
「ああ、それはお前が失神している間に、鼻中隔…鼻の間に穴を開けてあげたのよ。これで、鼻輪が着けられるし、鼻フックも引っ掛けられて、便利になるわ。開けた穴に詰めた脱脂綿は、明日の朝まで取っちゃダメよ」
と事も無げに答え、直樹を絶句させた。直樹がさすがに抗議しようかと思っていると、真奈美が医務室に入って来た。真奈美は直樹に、
「マゾ男、目が覚めたのね…しかし、お前が大泉総理を睨むなんて馬鹿な真似をしなかったら、こんな痛い目に遭わずに済んだのに…まあ、過ぎた事を言っても仕方ないから、独房に戻るわよ。夕食はとっくに終わっているけど、北川先生が点滴にブドウ糖を入れてくれたから、カロリー摂取は問題ないわね…さあ、ベッドから降りなさい」
と言って、ベッドから出るよう促した。
直樹は、史子女医に言いたい事が山ほどあったが、ぐっと文句を飲み込んで、軋んで痛む体を無理に動かし、ベッドから降りた。それから、直樹は史子女医の足元で土下座し、本音を押し殺して、
「北川先生、治療して戴きまして、感謝の念に堪えません。大変お世話になりました。本当にありがとうございます」
と礼を述べた。史子女医は、
「いいから、独房に戻って、早く寝なさい。お前はまだ若いから、一晩寝たらかなり回復するわよ」
と鷹揚に答えた。勝手に鼻に穴を開けられた直樹は、内心はらわたが煮えくり返っていたが、
「お心遣い戴き、誠にありがとうございます」
と重ねて礼を述べてから、よろよろと立ち上がった。直樹は、真奈美と一緒に医務室を出て独房に向かったが、打撲と鞭痕で体が引きつって体が軋んで痛み、まともに歩けずに遅れ気味だった。いつもなら、真奈美は直樹に後ろ手錠を掛け、陰部に革紐を括り付け引っ張って連行するのだが、直樹の体調を見て、さすがに普通に歩かせた。
直樹が自分の独房前に到着したのは、就寝前の目視点検時間の直前だった。満身創痍の直樹は何とか直立を保ち、無事に女性看守達からの目視点検を済ませて、独房に入った。それから、本当に嫌だったが、アクリル板の蓋を開けて金属製ボックスに入り、横たわった。
朝の起床を告げるサイレンが聞こえ、金属製ボックスの中で横たわっていた直樹は意識が戻った。頭の金属製キャップと陰茎の樹脂製パイプが金属製ボックス内前後に引っ込み、手首と足首に嵌っていた金属製の枷が外れて、同じ様に箱内下に引っ込んだ。直樹は自分の股間を見て、射精していたのが分かった。げんなりと疲れた顔の直樹は、強化アクリル板の蓋を押して開け、まだ打撲と鞭痕で痛む体を起こして金属製ボックスから出た。直樹は、床に嵌め込まれているステンレス製和式便器にしゃがみ、排尿と排便をしながら、ぼんやりと就寝中のバーチャル体験について考えた。
今回体験させられたバーチャル空間は、なぜだか舞台が南北戦争中のアメリカ南部になっており、農園管理人である白人女性監督の下で、全裸の直樹は服を着ている女黒人奴隷達と一緒に、綿花畑で農作業をさせられていた。直樹は作業能率が悪いという理由で、白人女性監督に両手首をロープで木の枝に吊るされ、一本鞭で酷く打たれた。全裸の直樹がぐったりすると、白人女性監督は女黒人奴隷に命じて、彼女らにフェラチオさせたり、指を肛門に差し入れさせたりして刺激した。若い直樹が刺激に抗えず勃起してしまうと、白人女性監督は彼の股間を中心に鞭打ちを再開し、彼に地獄の苦しみを与えた。
それから農作業に戻されたのだが、アメリカ南部の暑い日差しの中、直樹だけが水を飲ませてもらえなかった。喉の渇きに耐えかねた直樹が白人女性監督に訴えると、また鞭で打たれた上に人間便器にされ、彼女の尿を飲まされた。白人女性監督は、自分1人だけでは足りないだろうと言って、女黒人奴隷達に交代で直樹の口に排尿させた。
夕方になって綿花畑の農作業が終わり、直樹は女黒人奴隷達と一緒に奴隷小屋に戻った。直樹の夕食は女黒人奴隷達の残飯で、歯型が付いていたり、咀嚼してグチャグチャになっている、豚の臓物と豆の煮込みがバケツに入れられ、彼はそれを犬食いするよう強要された。夕食の後は、直樹は女黒人奴隷達の舐め犬にされ、彼女達は交代で満足するまで自分の陰部を舐めさせた。女黒人奴隷達全員の臭いがきつい陰部を舐めさせられた直樹は、舌が腫れ上がって酷く痛んでしまった。女黒人奴隷達はご褒美と称して、入れ替わり立ち代わり直樹に濃い尿を飲ませた。
急に場面が代わり、直樹はナチス時代のユダヤ人女性強制収容所にいた。全裸の直樹は長い作業台に向かって、粗末な囚人服を着ているユダヤ人女性達と一緒に、機械部品の組み立てをしていた。ここでも直樹は、ナチス女性看守から作業能率が悪いという理由で黒革ブーツで蹴り飛ばされて鞭打たれ、頭を踏みにじられた。作業中トイレに行きたくなったユダヤ人女性は、ナチス女性看守から命じられ、直樹を人間便器にして彼の口に排尿した。
夕方になって作業が終わり、全裸の直樹はナチス女性看守用の食堂に連れて行かれ、彼女達が夕食を摂っている間、犬のチンチンやオナニー等をさせられて、散々笑い者にされた。夕食を済ませたナチス女性看守達は、残飯をバケツに入れて直樹に犬食いさせた。その後、ナチス女性看守達の各部屋を回され、舌が腫れ上がるまで舐め犬に使われた。
ようやくユダヤ人女性用の貧相な宿舎に戻された全裸の直樹は、少量で粗末な食事のために痩せている彼女達から寄ってたかって、鬱憤晴らしの平手打ちをされたり、足蹴にされたり、唾を吐き掛けられたり、尿を飲まされたりした。残飯とは言え、たっぷり食べさせられて血色の良い直樹は、飢えているユダヤ人女性達から、彼はナチス女性看守の慰み者になって可愛がられ、いい食事を与えられているに違いないと誤解されて、食い物の恨みで散々虐められた。
ユダヤ人女性達はそれぞれ粗末な三段ベッドで就寝するのだが、直樹だけは、床に置かれている古くて使われていない棺桶の中で、ボロボロの毛布にくるまって寝るように命じられていた。その日、半年振りにユダヤ人女性達へ下着の支給があり、今彼女達が穿いているロクに洗濯していない汚れたパンティが回収された。ナチス女性看守達は、回収した多量の汚れたパンティを直樹が寝る棺桶の中に詰め込み、ボロ毛布代わりに使って寝るよう彼に命令した。嫌そうに顔を歪めた直樹が渋々、汚れたパンティが詰まった棺桶の中に入ると、饐えたような強烈な臭気で吐き気を催した。ナチス女性看守達が棺桶の蓋を閉めると、隙間があるので窒息はしないのだが、汚れたパンティの臭いが外に発散せず中にこもってしまい、直樹はまともに呼吸出来ない程だった。汚れたパンティまみれになった全裸の直樹は、このまま窒息死してしまうのではないかと本気で怯えた。
また急に場面が変わり、全裸の直樹はベトナム戦争中の畑にいた。その畑には、ボロボロの軍服を着て農作業している捕虜の米兵達と、AK47突撃銃を肩に下げて監視している女性ベトコン兵士達がいた。直樹は捕虜の米兵達と一緒に農作業を行ったが、ここでも作業能率が悪いと、女性ベトコン兵士から鞭で打たれて、サンダルを履いた足で頭を踏みにじられた。直樹と米兵捕虜達が農作業中に、女性ベトコン兵士達は催すと、直樹を人間便器にして尿を飲ませた。
夕方になり農作業が終わると、米兵捕虜達は粗末な小屋に連れて行かれたが、直樹だけは、地面に人がうずくまれる位の大きさと深さに掘った穴の中に入れられた。穴に入った直樹が膝を抱えて座ると、女性ベトコン兵士達は格子に組んだ竹で蓋をして、格子の両端を軍用車両にタイヤで踏ませて、動かせないよう固定した。
しばらくすると、1人の女性ベトコン兵士がバケツに入れた残飯を持って来て、竹の格子越しに穴の中で膝を抱えて座っている直樹に残飯をぶちまけた。飢えている直樹は、頭と体に掛かった残飯を手で掬い取り、口に入れた。直樹がそうやって惨めに残飯を食べていると、温かい液体が頭に掛かった。直樹が上を見ると、下半身裸になった女性ベトコン兵士が、竹の格子で仁王立ちになって排尿をし、嘲笑っていた。女性ベトコン兵士のアンモニア臭が強い尿にまみれた直樹は、あまりの屈辱にすすり泣いたが、それでも尿が混じった残飯を手で掬っては口に入れ続けた。女性ベトコン兵士達は、入れ替わり立ち代わり直樹が閉じ込められている穴を訪れ、公衆便所代わりに使って彼に尿を浴びせた。

便器に跨って、昨夜のバーチャル体験について考えた直樹は、
(これはおそらく、日本人女性だけじゃなく、人種を問わず世界中の女性達に絶対服従するマゾ奴隷に、徹底して仕込むと言う事なんだろうな…)
と推測した。排尿・排便を済ませた憂鬱顔の直樹は立ち上がり、既に血が乾いている脱脂綿を、痛みを堪えて鼻から引っ張り出し、和式便器に捨てた。それから独房を出て直立し、女性看守達の目視点検を受ける準備をした。
目視点検・残飯の朝食・洗顔・歯磨きが済み、マゾ男達の列はそれぞれの作業場に移動させられた。直樹は、女性看守達の黒革ニーハイブーツを磨く作業場に回された。床に並んでいる黒革ニーハイブーツの前で、マゾ男達はひれ伏して、
「ブーツ様、卑しい私めに是非ともブーツ様を磨かせて下さいませ」
と言って、ブーツつま先にキスしてから、靴磨きの道具を使ってピカピカに磨き上げなければならないのだ。直樹は最初、なぜ無機質の黒革ニーハイブーツにひれ伏し、うやうやしく申し立ててから磨かなければならないのか、理解出来なかった。しかし、担当女性看守の真奈美が監視しているので、黙って他のマゾ男達に倣いブーツ磨きを行った。
懸命にブーツ磨きをしている直樹に、
「マゾ男のお前は、身分がブーツより遥かに下だってことが分かるでしょう?もっと心を込めて、丁寧にブーツ様をお磨きするのよ」
と真奈美は嘲るように言い、彼の顔を屈辱で赤くさせた。しかし、その屈辱感が直樹の股間のものを硬くさせたので、直樹は改めて自分がマゾだと実感した。
また、女性看守達は度々作業場に立ち寄って、自分が履いている黒革ニーハイブーツをマゾ男達に磨かせた。その際も、マゾ男達は女性看守達の足元にひれ伏し、
「看守様、卑しい私めが看守様がお履きになられているブーツを磨かせて戴けるなんて、身に余る光栄でございます」
と言って、ブーツつま先にキスしてから、磨かなければならなかった。意地の悪い女性看守は、黒革ニーハイブーツ靴裏の汚れを、マゾ男に舐め取らせてきれいにさせたりした。
他の女性看守達は、ブーツ磨きしているマゾ男達に、
「手際が悪い!」
「くすみが残っている!」
「心がこもってない!」
等と殆ど言い掛かりみたいな叱責をして、足蹴にしたり鞭打ったりして、悲鳴を上げさせていた。真奈美は直樹にそうしなかったが、それは昨日怜美から受けた打撲傷と鞭痕が、まだ彼の体へ顕著に残っていたからだった。
直樹がブーツ磨きに専念していると、別の女性看守が作業場に入って来て、真奈美に何やら耳打ちした。頷いた真奈美は、
「マゾ男、お前に面会よ」
と直樹に告げた。
直樹は後ろ手錠を掛けられ、陰部を括られた革紐を真奈美に引っ張られる、いつもの連行方法で面会室に連れて来られた。直樹は
アクリル板で仕切られている面会室の床に、後ろ手錠も革紐も外されずに、そのまま姿で正座させられた。真奈美は、
「普通はアクリル板越しに面会するんだけど、今回は面会者の希望でお前と直接話がしたいそうよ」
と直樹に説明した。正坐している直樹は、誰が面会に来てくれたのかと、色々考えた。
不意にドアが開き、2人の女性が面会室に入って来た。スーツ姿の義母の真紀子と、高校のブレザー制服姿の義妹の良美だった。直樹は顔を輝かせ、
「お義母さん、良美…来てくれたんですか!?」
と喜びの声を出した。しかし、真紀子の返事は、正坐している直樹に浴びせた、目が眩む程の強烈な往復ビンタだった。
「ヒイィッ」
悲鳴を上げた直樹の顔面を、真紀子はパンプスで蹴り飛ばし、彼を床に転がした。真紀子は、床に倒れた直樹の頭をパンプスで踏みにじり、

「この変態マゾ男!お前がマゾ男と分かって逮捕され、マゾ強制収容所に入れられて、私と良美がどんな目に遭ったと思うの!私が勤めている高校で、職員室では誰も目を合わせてくれず、話もしてくれなくなったわ。教室では生徒が私を馬鹿にして言う事を全く聞かず、全然授業にならなくなったのよ!今、校長と教頭に泣きついて、他の高校に転勤させてもらうようにしているけど、今まで築き上げてきた教師のキャリアが台無しだわ!一体、どうしてくれるのよ!」
と激しく責め立てた。直樹は真紀子のパンプスの靴裏から、
「も、申し訳ありません…お義母さん…」
と苦しそうな声で謝罪した。真紀子は直樹の頭からパンプスを外すと、彼の頭を足蹴にし、
「額に“M”と記された変態マゾに、“お義母さん”と呼ばれたくないわよ!お前を今まで実の息子の様に可愛がってきた、自分の馬鹿さ加減に腹が立ってしょうがないわ!」
と罵り、ペッと唾を吐き掛けた。
真紀子が一歩下がると、今度は義妹の良美が、床に倒れている直樹の前に来た。良美は、直樹の陰部に括り付けられた革紐の端を持つと、力強く引っ張り上げながら、
「変態マゾ男、起きなさいよ!」
と言って、彼を立ち上がらせた。直樹が立ち上がると、良美は不意に彼の股間を蹴り上げた。
「グゥオォッ」
急所を蹴り上げられた直樹は、獣じみた悲鳴を上げて再び床に倒れ、体を芋虫みたいに曲げ伸ばして、悶え苦しんだ。良美は床に倒れた直樹の頭を通学用の革靴で踏みにじり、
「変態マゾ男、お前のおかげで、あたしは友達が1人もいなくなったわ!学校では誰も口を利いてくれないし、聞こえてくるのはヒソヒソ話の陰口だけよ。受験を控えて今更転校も出来ないし、卒業まで後3ヶ月だから我慢しているけど…全部、お前のせいだからね!お前みたいな変態マゾが義兄だったなんて、あたしの黒歴史もいいところよ!」
と酷く責めた。直樹が良美の靴裏から、
「ううっ、許してくれ、良美…」
と苦しそうに詫びると、彼女は更に体重を掛けて頭をグリグリと踏みにじり、
「変態マゾ男は変態マゾ男らしく、『お許し下さい、良美様』くらい言いなさいよ!」
と叱りつけた。直樹は泣きそうな声で、
「どうか…お許し下さいませ、良美様…」
と良美に許しを請うた。良美は直樹の頭から革靴を外すと、
「ふんっ、最低よね!この、変態マゾ男!」
と罵り、彼の頭を蹴った。真紀子は直樹に、
「お前に見せたいモノがあるから、寝そべってないで、ちゃんと正坐しなさい!」
と言いつけて、彼を床によろよろと正坐させた。真紀子は封筒から書類を取り出し、正坐した直樹の顔に突き付け、
「これでお前はもう、藤本家の人間じゃないわ!お前は、私と良美とは何の関わりも無い赤の他人で、ただの変態マゾ男だからね!」
と言い放った。真紀子が直樹に見せたのは、彼の除籍謄本…世間では“絶縁状”と呼ばれるものだった。真紀子は、愕然としている直樹の前で、彼の除籍謄本を封筒に戻し、

「これを今からマゾ管理局に提出してくるわ…これで、お前とは永遠にサヨナラね!」
と言って、彼の顔にペッと唾を吐いた。良美も直樹の顔に唾を吐き掛け、
「大体、額に“M”の字が刻み込まれている変態マゾ男なんて、見るのも汚らわしいわよ…バイバイ!」
と言い捨て、真紀子と一緒に面会室を出て行った。面会室に取り残された直樹は、力無くうなだれて、すすり泣き始めた。真奈美は何とも言えない表情で、正坐してすすり泣いている直樹を見下ろしていた。
作業場に戻らされた直樹は、ブーツ磨きを再開したが、その姿に生気は感じられなかった。直樹を監視している担当女性看守の真奈美は、
「絶縁されたマゾ男は、お前だけじゃないわよ…まあ、私も数え切れないくらい面会室の立会いをしてきたけど、マゾ男が家族から絶縁を言い渡される場面は、今でも慣れないわね…でも、これはお前がマゾ男に生まれた宿命よ。マゾ男の宿命は、自分から潔く受け入れなさい」
と彼に諭すように話し掛けた。真奈美の言葉を聞いていた直樹は、何と返事すればいいかも分からなくなっており、無表情で機械的に黒革ニーハイブーツを磨くだけだった。
女性看守が作業場に入って来て、また真奈美に耳打ちした。頷いた真奈美は、
「マゾ男、もう一度面会室に行くわよ…お前をマゾ奴隷として所有したいと言う女性が来ているらしいわ。“捨てる神あれば、拾う神あり”ね」
と直樹に告げた。
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